暮らしのなかの身近な放射線

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放射線の具体的な利用例

その1. (強い)放射線でモノの性質を変える!❶他の分子と繋げる(橋かけ)
  • ラジアルタイヤ

  • 耐熱電線

  • 発泡ポリオレフィン

  • など

 ゴムやプラスチックなど、非常に長い分子(高分子)でできている素材に放射線を当てると、内部の分子鎖のところどころに活性点ができる。
 近くにできた活性点と活性点の間で橋かけ(架橋)反応が起きるように条件を整えると、それまでバラバラだった高分子の鎖が互いに繋がって、三次元的な網目構造ができる。

➡応用例1:ラジアルタイヤ
 自動車のラジアルタイヤで使われるボディープライ(繊維で補強されたゴムベルト)に放射線照射することにより、ゴム分子間が架橋されて弾性が増す。これにより、加熱・加圧してゴムタイヤを成形する際の繊維のズレやはみ出しを抑制することができ、市販のラジアルタイヤの大部分に使用されている。

➡応用例5:ハイドロゲル創傷被覆材
 ハイドロゲルは網目構造内に多量の水を含有する親水性ポリマーである。放射線照射による架橋反応では、架橋剤を使用しないため未反応の架橋剤が残留する心配がなく、短い反応時間でピュアな(滅菌済みの)ハイドロゲルを調製できる。
 ポリビニルアルコールを主原料としたハイドロゲル創傷被覆材「ビューゲル」が傷を湿潤環境で治療する製剤として医科向けに販売され、靴擦れ用緩衝材「ジェルプロテクター」が一般の薬局等で販売されている。